目からウロコの The 美肌道

第7話 くすみ肌からの脱却

 

汚れが汚れを定着させる、お肌の上の負の連鎖

 

 前回は、洗わない洗顔、簡単に拭き取るだけのクレンジングへとはまっていくお話をしたわけですが、その後どうなりましたかと言いますと…もちろん、ラクな方へ、ラクな方へと流れ流れて、いつしか夜の就寝前にまともにバシャバシャと洗顔することは皆無となっておりました。

 朝のシャワーの時に洗顔料で洗うことはしていたので、ま、大丈夫でしょ、くらいに軽く考えていたのです。

 その後『ナノ』という十億分の一を表す単位のスーパー微粒子が化粧水や美容液に用いられるようになり、皆さんもご存知の通り美容成分の新たなる花形として注目を集めました。

 このナノ化粧水を初めて手にしたときはとても嬉しく、これはお肌の奥にまで保湿成分が届くしっとり系の超スグレモノに違いないと思い、早速使ってみたのを覚えています。しかし、このナノ化粧水をつけた直後にすっかり忘れていたあの感覚が蘇ってきたのです。

 第6話でお話しした洗わない洗顔を続けていた時に感じたのと同じあの感じ…肌に一枚の膜が張ったような鈍い圧迫感と違和感です。

意外でした。これはあくまで個人的な感想ですが、お肌が潤う感覚は得られず、膜が張ったような鈍い圧迫感と、日に日に肌色がくすんでくるような感じばかりがするのです。きっときちんと洗顔していない肌の上にナノレベルの微粒子がたくさん付着し、時間の経過と共に表皮で汚れと化したのでしょう。

 久々にまたもやこれはまずい! と頭の中でサイレンが鳴り、慌てて使用を止めましたが、とき既に遅し。ナノ化粧水を一週間使った分だけ肌はくすみ、それがまたもや定着してしまったのです。

 

角質ケアサロン再び

 

 それからというもの何度鏡の中の自分を見直してみても、もう元の肌色には戻らないようでした。このようにラクな方へ流れ、また、さまざまな美容品を試しながら4年の月日が流れていったのです。

 そんなある日、当時担当していた雑誌の美容ページでエステティックサロンなどを取材するページに携わることになり、迷わず角質ケアサロンを推薦しました。そしてついに自ら取材する機会を得たのです。

 初めての角質ケアサロン体験は、もう随分と遠い記憶となっていたものの、そのすごさは、まだまだ生き生きと鮮やかな印象を放ちながら記憶の中にしっかりと残されていたのです。

 20044月。ほぼ4年ぶりでサロンへ取材をしに伺いました。しばらくご無沙汰しているうちにサロンは移転してグレードアップされていました。

 久しぶりの体験取材は、以前よりも変化の大きい興味深いものとなりました。

 施術後、まず最初に鏡の中で発見したことは、肌色がかなり明るく白く改善されたことです。こんな自分の肌を見るのは一体何年ぶりなのだろうとしみじみ考えてしまうほどに素肌がきれいに生まれ変わっていたのです。

 

衰えてきたからこそ掴めた角質ケアの本当のすごさ

 

 フェイスラインが引き締まり、目もいつもより大きく見えます。瞼のヨレが改善され、小じわも消えていました! 驚きです。小鼻もすっきりとし、顔がすっかり若返っていたのです!! 

 またもやたった一度のケアで!

 施術後の自分の顔をみつめながら、そのすごさを本当にはわかっていなかったのかもしれないと改めて心底驚きました。

 なぜならこれだけのケア力を4年前に把握していたならば、忙しくともなんとか時間を工面してサロンへ来ていたはずだと思えたからです。

 しかし、それはお肌が衰え始めたからこその気づきでもありました。

 サロンの方は4年前の私の肌状態をしっかりと覚えていらっしゃったようです。しかし、なぜかそれについては多くを語ろうとはなさいませんでした。取材についてはにいくらでもお話しして下さるのに…。

 

それでもまだ加齢現象だと

 

 帰り際、淡々とした様子で「サロンへ通われたほうがいいですよ」と一言だけおっしゃいました。それまでサロンや商品を勧めることを一切しなかった人の言葉であったのに、不覚にもさらっと聞き流してしまったことを後で悔やむことになろうとは。そのうち時間を作って…と思っていました。

 「そのうち」です。そのうちなんてそう簡単にはやって来ないことを考えもせずに。

 それから3年後。その言葉の意味を知るに至りました。2005年からライフスタイルが変わり、念願のサロン通いが実現したのですが、定期的に通い始めて数ヵ月経った頃、「あの時はとても言えませんでしたが、ああ、あの人の肌がこんなになってしまった、という状態でした。初めていらっしゃった時はとてもきれいな肌をしていましたから」と言われたのです。

 取材当時、私個人の肌の話を振るとやたら口が重くなっていたのは気遣うあまり、何も言えなくなっていたということだったのです。あの頃の肌は不摂生と余分な化粧品でキテいました。しかしそれは、お手入れなどの問題ではなく、すべてはお肌の加齢現象だと思い込み、ガックリとうなだれながら諦めていたのです。本当は加齢現象もどきだとも気づかずに。